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キンラン             2015.5.1

 上水路の林の中で最も目を惹く花の一つでしょう。木漏れ日が当たると濃黄色の花は、金蘭の名にふさわしく輝きます。

4月下旬から5月上旬にかけて見ることができます。新堀用水沿い咲く花を、暗い用水を背景にすると花が浮き出ているように見えます。

キンラン2015.4.25

キンランは国及び都のレッドリストで絶滅危惧種(絶滅の危険が増大している種)になっています。

キンランをふつうに見ることができる上水路の環境を是非維持してゆきたいものです。

 (注)レッドリストは国(環境省版)の他、東京都も作成しています。都版は区部、北多摩、南多摩、西多摩別になっています。ランクのカテゴリーは概ね国に準じています。 

キンランとキタキチョウ    2015.5.1 

 木漏れ日の下、キンランにキタキチョウがやってきました。

 黄色い花に黄色いチョウ、同系色で分かりにくいですが、拡大して見るとキタキチョウはストローを伸ばして蜜を吸っての食事中でした。


ギンラン              2015.5.1 

ギンランも都のレッドリストでは都内全域でキンランと同じ絶滅危惧種(絶滅の危険が増大している種)になっています。

全体が小ぶりで可愛らしい花です。上水路ではササバギンランより少ないようです。花はササバギンランよりやや多めに開きます。

ササバギンラン              2015.4.30

 ギンランと比べると、細い葉が花の上まで伸び、花もわずかしか開きません。上水路ではキンランにやや遅れて咲きます。すっと伸びた葉と白く清楚な花は端整で気品を感じます。キンランより少なく地味で目立たないのでじっくり探してみましょう。都のレッドリストによると多摩全域で準絶滅危惧種(キンランの1ランク下)になっています。

ギンランとホソオビヒゲナガ         2012.5.6

 ギンランにヒゲナガガの仲間のホソオビヒゲナガ(♂)が止まっていました。長い触角は体長の3~4倍あります。

この触角は飛ぶときにはもてあまし気味、微風にもそよぐ感じでフラーリ、フラリと飛んでいます。翅の模様は光沢がありとてもきれいです。雌の触覚は短く、それでも体長の2倍ほどあります。


ジュウニヒトエ             2015.4.19 

花が重なって咲く様子を着物の十二単に見立ててこの名があるそうです。林下の草があまり伸びない時季に、淡紫色の花を重なるように咲かせます。落ち着いた感じの美しい花だと思います。上水路では以前より少なくなっています。減少は人為的なもの考えられ、写真の花も数日後には消えていました。大切に守りたい花のひとつです。

 

アマドコロ                2015.4.25 

漢字では甘野老と書きます。根茎がオニドコロ(鬼野老)に似ていて甘いことからこの名があるそうです。

 上水路の自生野草観察ゾーンの草地で見られますが、上水路には草地が少ないため多くはありません。花は長さ40~50cmの湾曲した茎の葉のわきから1~2つ筒状の花を垂れ下げてつけます。都のレッドリストでは多摩北部でキンランと同等の絶滅危惧種、南、西部では準絶滅危惧種になっています。


ナルコユリ               2015.5.6 

垂れ下がって咲く花の姿が鳴子に似ていることからこの名があるそうです。上述のアマドコロとよく似ており、一見分かりにくいかと思います。茎に触れてみるとアマドコロは角(稜)があり、ナルコユリは丸い茎なので区別できます。アマドコロは草地に対してナルコユリは林内を好むようです。

クチナシグサ              2015.4.30

雑木林の林下に地を這うように茎が伸び、1cmほどで中心が黄色い淡紅色の花をつけます。名はこの花の実がクチナシの実に似ていることからつけられたそうです。雑木林の下草に紛れて見つけにくいかもしれません。

クチナシグサは都のレッドリストでは多摩全域でキンランと同等の絶滅危惧種になっています。


コバノタツナミ              2015.4.30

 名は、花が一方を向いて咲く様子を寄せる波に見立て、タツナミソウより葉が小さいことによるそうです。上品な青紫色がとてもきれいだと思います。

上水路に散在していますが、それほど多くはありません。

写真は、歩道の真ん中に立つクヌギの根元にあったものです。株が小さいので気づく人は少ないようです。

ニガナ                    2015.5.6

茎や葉を切ると苦味がある乳液が出ます。日向を好むニガナですが、上水路では日陰になる新堀用水沿いでもふつうに見ることができます。黄色い花の一つ一つは華奢で弱々しく見えますが、星型に開いた花びらはなかなかきれいだと思います。

 クヌギ、コナラを剪定して明るくなった雑木林のしたで、ニガナは群落を作っていました。


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アカガネサルハムシ           2015.5.2

 タマムシのような美しい色彩の6,7mm程のハムシの仲間の甲虫です。上水路では、アカガネサルハムシは主にブドウの仲間のエビヅルの葉を食草にしています。

5月上、中旬、自生野草観察ゾーンでエビヅルを探すとこの虫が見つかると思います。しかし、このきれいな虫は栽培ブドウの害虫だとのこと。

コフキゾウムシ             2015.5.23

口先(口吻)は短いですが体長5mmほどのゾウムシの仲間です。淡緑色に見えるのは細かい鱗片に覆われているからで、鱗片が取れる黒色です。今頃の体色と大きく愛らしい黒い眼が魅力的です。

ハギやクズなどマメ科の葉が食草ですが、大豆やインゲンの葉も食べるため、害虫扱いされています。

アカシジミ               2015.5.15

オレンジ色が美しいこのアカシジミをこれまで上水路で見たことがありませんでした。見過ごしていたのでしょうが、今年は飛翔中を含め数回見ることができました。幼虫の食草はコナラ、ミズナラですから上水路にもっといてもよいチョウかもしれません。 成虫の発生は年1回、5月下旬~7月にかけてだそうです。