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                                        写真と文は宮元伸也さん

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 << 第37回 玉川上水~梅雨の頃 >>

初夏から走り梅雨を迎える頃、繁茂する草に覆われた小道、精一杯枝葉を広げた林下の道をゆっくり散策しました。草の間から顔を出す花、木に絡み見上げてみる花、それらの花を求めるさまざまな虫たちとも出会えました。

ノアザミ                      2019.05.28 春から夏にかけて咲くアザミで、上水路に散在しています。紫色の花が少ない時季、草むらから顔を出して咲く紫色の花は目立ちます。他に夏から秋にかけて咲くノハラアザミもあり花が重なる時期があります。違いは花の下のトゲトゲした苞(総苞)に指で触れるとノアザミは粘液でべたつき、ノハラアザミにはそれがありません。

 スイカズラ                        2019.05.17  咲き始めのスイカズラの花です。夕日が当たって真っ白な花弁がほのかに紅を射し、美しかったので思わず撮ってしまいました。5月に撮りました。



テイカカズラ                    2019.05.28 常緑のつる性の木です。数年前柵内のつる性の木の刈り取り整備をしたことがあります。その後しばらく見られなかった花が、木が成長したのでしょうか今年になって至るところで咲いていました。林床を這うつるまで刈り取れなかったようです。

テイカカズラの花               2019.06.21花はよくスクリューの形といわれています。花には芳香があり、咲き始めの白い花は淡黄色に変化します。花後にできる果実は細長いマメの鞘に似た形で、冬には熟した果実は裂け、長く白い長い冠毛が付いた種子が風に乗ってフワフワと飛び出します。


ノビル                2019.06.11ニラ臭がする葉やラッキョウに似た味の鱗茎は、春の食べられる野草としておなじみです。上水路の道端でふつうに見られます。30cm程に伸びた花茎の先に咲く淡紅紫色の花はかわいらしくきれいです。花の下部の茶色い球形はムカゴ(球芽=シュガ)で地に落ちると芽を出します。

ニワトコの果実                 2019.06.11 生い茂る草の間から、赤く艶がある3mmほどの小さな果実が見えました。草の果実!?と思ったら、高さ50~60cm低木のニワトコの果実でした。ニワトコは5mほどになる落葉低木で上水路には点在していると思われます。この場所では初めて見ました。


ノカンゾウ             20190.6.06 上水路ではふつうに見られ、日当たりがよい右岸では、小規模な群生もあります。花の色は橙赤色から赤褐色まで変化があります。写真は赤色があまり目立ちませんがすこし遅れて赤色が濃い花が咲き始めます。

ヤブカンゾウ            2019.06.20 ノカンゾウよりやや大ぶりの八重咲きです。八重の花弁は、雄しべと雌しべ花弁状になったものです。上水路ではノカンゾウにやや遅れて咲きます。この種の花に見られないグシャグシャ感が面白いです。有史前に中国から帰化したそうです。


 ナワシロイチゴの果実   2019.06.21      梅雨の時季、右岸の日当たりが良い歩道を歩くと茂る草の間に真っ赤な果実が見つかります。写真で真ん中の真紅に熟しているのが食べごろで、手でつまむとすぽっと抜けます。甘みと酸味のバランスがよくとてもおいしいです。両脇の二つは赤色ですが、まだ酸っぱいです。真紅になるまでもう少し待ちましょう。

ドクダミの群生              2019.06.11例年よりドクダミの群落が多いような気がします。白い十字を散らした群生に木漏れ日が射していました。白い花弁のように見えるのは総苞(そうほう)です。花は穂状に立った黄色く見えるもので雄しべ、雌しべがたくさん付いています。花弁はありません。


八重のドクダミ           2019.06.20 上水路では少ないですが、苞(ほう)片が八重のドクダミが見られます。ドクダミは比較的原始的な植物で、八重咲きは葉が苞に変化する過程を示すともいわれています。雪が積もったモミの木のようで可愛らしいと思います。

苞が緑のドクダミ            2019.06.20 八重咲きのドクダミの近くに緑と白が混ざったドクダミもありました。葉が苞(ほう)へ変化する過程のなのでしょうか、先祖帰り? ドクダミの仲間(科)のハンゲショウの葉に似ていますね。


オカトラノオとヒメハラナガツチバチ  2019.06.20

オカトラノオは日当たりが良い草地で群生も見られます。虎の尾ような曲線を描きながら白く小さな花が下から先端に向かって順に咲きます。ハチを初め、チョウ、アブ甲虫などなどさまざまな虫が蜜や花粉を求めて訪れます。大きさ2cmほどのヒメハラナガツチバチが蜜を吸っていました。

ブタナ                              2019.05.28 地表の葉から20~30cm伸びた茎の上部に1,2輪の黄色いタンポポに似たかわいらしい花、この草の名が何故「ブタ」? ヨーロッパ原産の外来種でフランス名の訳が「ブタナ」だそうです。上水路でもよく見かけるようになりました。


オオマツヨイグサ               2019.06.20 上水路および付近の道端にマツヨイグサの名がつく花は数種あり、いずれも外来種です。オオマツヨイグサの花は中でも一番大きく直径6~8cmあります。優しく黄色い花はなじみやすいと思います。明治の初めに渡来したヨーロッパで作り出された園芸種だそうです。

ヒトツバハギの雄花           2019.06.20 名の由来は、葉がハギ(萩)の3枚の小葉の一枚に似ているからだそうです。高さが2mほどにもなる木ですがあまり目立ちません。雌雄別株です。写真は3mmほどの雄ばなで淡黄色のおしべが目立ちます。


ヒトツバハギの果実            2019.06.20ヒトツバハギの雌株に3本の花頭(雌しべの先端)が付いた果実ができていました。アリがときどきやってきます。秋には果実は褐色に熟します。ヒトツバハギは日が当たる右岸に散在しています。 

 ヒルガオ                         2019.06.20 梅雨の頃、淡紅色の美しい花を咲かせます。子供の頃「あめふりあさがお」と呼んでなじんだ花の一つで、玉川上水では草原や道端でふつうに見られます。花がやや小さく、葉の基部が横に張り出したコヒルガオもまれに咲いています。


ガクアジサイとセイヨウミツバチ    2019.06.25 

ガクアジサイの花にセイヨウミツバチがきました。後脚の花粉かごには集めた花粉の大きな団子を付けています。アジサイの花の周囲にある大きな花弁状のものは萼(がく)で飾り花(装飾花)です。ミツバチは中央の花にとまりさらに花粉を集めているようです。

マルボシヒラタヤドリバエとハルジオン 2019.06.25

体長7mmほどの小さな虫がハルジオンの花に止まっていました。腹部がふっくらと膨らみ黒く丸い斑点が可愛らしいヤドリバエの仲間です。成虫は花粉を食べますが、メスの成虫は果樹の害虫チャバネアオカメムシの成虫に卵を産みつけ、孵化した幼虫はそのカメムシを食べて育つそうです。


コオニヤンマ                     2019.06.06小型のヤンマの名がついていますが、オニヤンマやギンヤンマなどヤンマの仲間ではなくサナエトンボのなかまです。大きさは8~9cmで、10cmほどあるオニヤンマよりやや小さいです。す。茂った草原の細い木にとまっていました。

ヨダンハエトリ                   2019.06.11 変わった名のクモです。腹部の4本の縞模様が特徴で名の由来です。大きさは8~9mm、赤や白、オレンジの派手な彩りの小さくてかわいらしいクモです。単眼4個が並んだ(顔?)は愛嬌がありますが、位置が悪く撮れませんでした。落ち葉や草の間を徘徊し、小さな虫を食べます。玉川上水では初めて見ました。


カルガモの親子                                             2019.05.25今年も新堀用水でカルガモの親子が見られました。4羽のヒナは、元気でよく動くためカメラの視野には2羽しか入りません。時折ピヨピヨと可愛らしい鳴き声が聞こえました。この光景は新堀用水付近では恒例ですが来年も期待したいです。