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                                        写真と文は宮元伸也さん

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< 玉川上水路 新緑から初夏へ >


サクラの花が散ると行く春の進みは一段と速くなり、新緑も瞬く間に色が濃くなってきます。

そのような時季、散歩中眼に留まりにくい草木の花を選んでみました。

1. カマツカ                        (2018.4.16)

白くかわいらしい花は、秋の黄葉と真っ赤な果実が美しいカマツカです。落葉小高木で上水路ではふつうに見られます。カマツカの名は材質が硬く鎌の柄材に使われたことから、別名ウシコロシ(牛の鼻輪材)

2. サワフタギ                    (2018.4.21)

落葉の低木です。雄しべが目立つ白い花を沢山つけ、木々の新緑の下でひっそり咲いています。上水路では数少ない木です。秋には艶のあるきれいな藍色の果実がなります。材質が牛の鼻輪に使われるカマツカのように硬いのでルリミノウシコロシの別名があります。


3. ミズキ                       (2018.4.15)  

 落葉の高木です。1cmに満たない小さな白い花の集まりが枝いっぱい咲いたときは見事です。高い木の枝先に咲くため、遠くからでも見えますが、散策中は見上げないと気づかないかもしれません。春先の若葉の柔らかな緑もきれいです。上水路に多い木です。

4. アオキ 左:雌花 右:雄花     (2018.4)

 上水路の林内でふつうに見られる常緑の低木で、雌雄別株です。雄花、雌花ともに紫褐色の1cmほど、ビロードのような花弁がきれいです。雄花(雄株)は4本の黄色い葯が目立ちます。雌花(雌株)は中央に雌しべがあり、雄しべはありません。花と前年の赤い果実の両方が見られることもあります。


5. アケビ 左:雌花 右:雄花     (2018.4.4)

 アケビは落葉つる性の木で雌雄同株です。淡紫色の花は、雄花は先端のほうに、雌花は茎に近いほうに分かれて咲きます。花弁のように開いた3枚は萼(ガク)です。雄しべは小さな球形の中に、雌しべは開いた萼の中央あり粘液を分泌した円柱状をしています。変わった形で魅力的な花です。

6. ヒメコウゾ                     (2018.4.20)

 落葉低木です。花は、新枝の基部に雄花、その上部の葉の腋に雌花がつきます。雄花はまだ若くツブツブが集まった球形ですが、やがてツブツブから淡黄色の葯(花粉の容器)がついた雄しべが出てきます。雌花は暗紫色の長い毛のような雌しべを持ち変わった形をしています。果実は6月にはキイチゴに似た橙赤色に熟して食べられます。


7. イロハモミジの花          (2018.4.5)

秋の紅葉で知られていますが、春の新緑と赤い小さな花もきれいです。花は雌雄同株で、一つの花柄(花軸)に雄花と両性花(雄しべと雌しべ両方を持つ)が混生しています。写真で中央上と右上部の花は緑の翼を持つ果実と雄しべがあり両性化です。写真中央下には雄しべだけの雄花があります。暗紫色で花弁のように見えるのは萼です。

8. ヤマブキ              (2018.4.1)

落葉の低木です。俳句では春の季語だそうです。枝が伸びるとしなやかに垂れ、上水の法面に群れる黄金色の花は見ごたえがあります。上水路では一重のヤマブキが多く、少し遅れて咲くヤエヤマブキは少ないです。ヤマブキの名はしなやかな枝が風に揺れるようすから昔は「山振」と書かれたそうです。


9. ホソバテンナンショウ       (2018.4.6)

ミミガタテンナンショウやマムシ草の仲間です。この仲間は変異が多いとのこと。特徴は仏炎苞(最上部の覆いのようなもの。)が細く緑色、付属体(筒から突き出たこん棒状のもの。)が細いことなどで、図鑑(山渓谷ハンディ図鑑1「野に咲くは花」)を参考にしました。上水路では少ない変わった形の花です。

10.ムサシアブミ           (2018.2.27)

テンナンショウの仲間で、林内に生える多年草です。地表に伸びた2本の葉の間から低い花茎が出ています。緑色の仏炎苞は全体が丸まっていますが、成長によりもう少し開くと思われます。名は、丸みを帯びた仏炎苞の形が昔武蔵国で作られた鐙(あぶみ。馬に乗る人が足をかけるもの)に似ていることによります。上水路には少ないと思われます。


11.シロバナタンポポ                (2018.3.24) 

 西日本ではふつうに見られるタンポポだそうです。分布域は関東地方西部以西、四国、九州になっています。以前、上水路では散在していましたが、近年あまり見られなくなりました。黄色いタンポポを見慣れた眼には、新鮮で清らかな感じがします。

12. ツボスミレ                   (2018.4.6)

 やや湿った草地や林内でふつうに見られるスミレといわれていますが、上水路では新堀用水沿いにわずかに見られます。白い花は小さく散策中は気づきにくいかもしれません。大きなケヤキの下に咲いていました。タチツボスミレにやや遅れて咲きます。


13. ジュウニヒトエ        (2018.4.16)

 やや明るい林縁に生える多年草です。上水路には散在し、穂状の花を数本つける大きな株もあります。名は小さな花が重なって咲く様子を女官の衣装十二単に見立てたそうです。花弁には薄紫の筋が入り、上品な感じがします。大切に見守りたい花の一つです。

14. フッキソウ           (2018.3.24)

山地や林内生える雌雄同株の常緑亜低木(茎の下半分から根際のみが木化しているもの)です。高さは約20cm、茎の下部は地をはっています。花に花弁はなく、上部に白いのは雄しべで先端に茶色い葯がついています。雌花は下部にあり先端が二つに反った舌状の雌しべがあります。上水路に散在しています。家庭や公園などでグランドカバーに使われています。


15. キタテハ              (2018.3.23)   

 3月下旬まだ気温が上がらない午前中、キタテハが擬似木の杭にとまり、時々翅を開きながら日向ぼっこをしていました。キタテハの幼虫の食草はクワ科のカナムグラです。近年、玉川上水周辺のツル性の草が少なくなっています。カナムグラもその一つです。キタテハも住みにくくなりそうです。

16.ベニシジミ                 (2018.4.15) 

 上水路ではよく見かける美しいチョウです。春から秋まで年に数回出現します。羽の模様が写真の春型とそれに似た秋型、やや黒くくすんだ夏型があります。幼虫の食草のギシギシの仲間(タデ科)は上水路周辺にふつうに生えています。


17. コミスジ                                         (2018.4.16)

 三本の白いすじ模様が特徴の小さなタテハチョウの仲間です。あまり羽ばたかず滑るように飛びます。オスは縄張り意識が強く、チョウだけではなく飛んでくる虫たちを追い回す光景をよく見ます。幼虫はクズやナンテンハギなどマメ科の葉を食べます。