ちむくい達TOP>                                <前のページ

                                        写真と文は宮元伸也さん

写真はクリックすると拡大表示します

 << 第36回 玉川上水路に春が来た >>

ポカポカ陽気かと思えば冷たい北風に悩まされましたが、どこかで生まれた春がやってきました。花の競演の始まりです。気温が上昇とともに一週間で草木の様相、虫たちの動きが変化する時期です。上水路を歩き春の息吹を感じたく上水路を歩きました。

1. シュンラン             (2019.3.15)

鉢植えで楽しむシンビジウムの仲間です。上水路ではふつうに見られるランの一つで、林内に生える常緑の多年草です。大きな3枚の緑色の花弁のような萼(がく)、中央の上部2枚が花弁でその下に白く下がる唇(しん)弁があります。夏~秋に上水路の咲くマヤランもシュンランの仲間です。

2. アマナ               (2019.3.31)

日当たりがよい草地や林縁で咲くユリ科の花です。群落で咲くところもあります。花の大きさに比べ花茎や葉が細くなよなよとした感じがします。花は日が照ると開き、早春の柔らかい日差しの下、春が感じられます。地中の鱗茎に甘みがあるそうです。


3.アマナと ビロードツリアブ    (2019.3.31)  

 アマナを撮影中に羽音と共に虫が飛んできてホバリングしながら花にとまりました。茶色の毛むくじゃら、長い口吻、ホバリングが上手なビロードツリアブです。長い口吻で花粉や蜜を食べるそうです。大きさは1cmほど、モフモフ感の可愛らしいアブです。3~4月によく見られます。

4. ミツバツチグリとビロードツリアブ (2019.4.11)

 この時期、枯葉色の草はらの中に咲くミツバツチグリの黄色い花は目立ちます。這って伸びる茎に付く葉は小葉3枚からからなります。タンポポなどキク科の花に比べシンプルで愛らしい花です。上水路ではふつうに見られます。ここにもビロードツリアブが飛んできました。


5. タチツボスミレ           (2019.4.2)

 上水路のいたるところで見られるスミレです。小さく群れて咲くことがあり、淡青紫色の花は春を知らせてくれる花の一つだと思います。このスミレを撮るのは毎年のことですが、花の色形が好ましくついカメラを向けてしまいます。

6. ミチタネツケバナ                (2019.3.5)

 ヨーロッパ原産の外来種です。道端などでふつうに見られます。花の直径は5mm程、真っ白な花弁が爽やかです。花の真ん中にある雌しべは受粉後、果実は真っすぐ上に延びます。熟した果実を手で触れると中の種子をぱちぱちと音を立てて飛ばします。在来種のタネツケバナは、田の畦や水路脇などの湿地を好むそうです。


7. ニリンソウ             (2019.4.16)

桜の花にやや遅れて右岸上水路に群生するニリンソウの花を毎年楽しみにしていました。今年は天候不順のため遅れているのでしょうか撮影日にしては花の密度が少ないような気がしました。上水路ではふつうに見られますが、東京都デッドデータブック多摩北部(旧北多摩郡地域)の準絶滅危惧種に剪定されています。

9. タチイヌノフグリ          (2019.4.16)

春にさきがけ空色の花咲かすオオイヌノフグリの仲間です。オオイヌノフグリに似た青い花の直径は半分の4mmほどの可愛らしい花です。草丈は約20cm、花は直立した茎の上部に咲きます。上水路ではふつうに見られます。オオイヌノフグリとともに明治の頃ユーラシア、アフリカから渡来した外来種です。

8. イチリンソウ           (20190.4.16)

 イチリンソウは花茎の先にニリンソウの花より一回り大きな白い花を一輪つけます。花弁のように見えるのは実は萼(がく)片で花弁はありません(ニリンソウも同じ)。萼片の裏側は淡い紫色を帯びることがあります。周囲はアズマネザサが密生し以前より群生が小さくなったようです。

10. コハコベ             (2019.3.13)

春の七草や小鳥の餌などでおなじみです。直径6~7mmの小さな花は、1個の花弁が下部まで2つに裂けているため5個の花弁が10枚に見えます。茎は暗紫を帯びています。本種によく似たミドリハコベは茎が緑色です。一般的には両種とも「ハコベ」と読んでいるそうです。道端や荒地などいたるところに生えています。


11. ツメクサ            (2019.4.6) 

 道端や宅地や歩道の敷石の隙間などでふつうに見られます。ただ花は直径4mm程、草丈は低く見逃すかもしれません。ルーペで見るとしっかり整った可愛らしい花です。名は厚く線形で尖った葉を鳥の爪に見立てています。

12. ノミノツヅリ          (2019.4.6)

ツメクサと同様の場所でやや乾燥した場所で見られます。這って延びる茎は次第に立ち上がり、直径5mmほどの白く小さな花をたくさん付けます。ハコベの花に似てますが5個の花弁は裂けません。名は葉をノミの粗末な衣服(綴)に見立てたてています。


13 ヒメウズ              (2019.4.2)

上水路の林縁に散在します。高さ20~30cmmの茎の分岐した枝先に直径5mmほどの小さな花を下向きにつけます。淡紫色で5枚の花弁のように見えるのは萼(がく)片で、淡黄色で筒状のものが花弁です。茎が細くなよなよとして微風でも揺れるため撮りにくい花の一つです。

14 ムラサキケマン         (2019.4.5)

 上水の法面や用水近くのやや湿ったところに散在しています。葉は鳥の羽状に細かく裂け、茎の先の紅紫色の総(ふさ)状の花は下から上へ順に咲いていきます。葉はニンジンに似た形をしています。変わった形の花ですがケシの仲間です。


15. ミミガタテンナンショウ      (2019.3.31)

上水路の林下や林縁でまれに見られます。妙な形をしていますが、花のように見える筒状のものを仏炎苞(ぶつえんほう:芽やツボミを包む葉が変化したもの)といい、そのふちが耳たぶのように張り出していることが名の由来です。仏炎苞の筒内の付属体(こん棒状の形)の下部に雄しべと雌しべがありますが、同じ個体で雄株から雌株へと転換するそうです。

16. モミジイチゴ            (2019.4.11)

 上水路の林下に散在しています。アーチ状に1mほど伸びた茎に、新たに伸びた短枝の下に白い花を下向きにつけます。茎には刺が多いです。葉の形がモミジの葉に似ています。6月頃にオレンジ色に熟した果実はおいしいですが、上水路では果実がなりにくいようです。


17. クサイチゴ                         (2019.3.31)

 上水路の新堀用水側でよく見られるキイチゴです。一見つる性の草のように這って伸びますが木です。キイチゴ仲間では比較的おおきい直径4cmほどの白い花を上向きに咲かせます。6月頃に赤く熟す果実はおいしいそうです。茎や葉に細かいトゲがあります。

18. ニガイチゴ           (2019.4.6)

 上水路の林縁で見られますが上記2種に比べ少ないと思います。細い花弁と白いロウ質の粉が付いた茎や枝が特徴です。花は上向きにつけます。茎や枝、葉に細かいトゲがあります。6月頃に赤く熟す果実はおいしいそうですが食べたことがありません。


19. アオキ 雄樹の花        (2019.3.27) 

アオキは雌雄別株です。雄株、雌株ともに前年枝の先に円錐状に紫褐色の花をたくさんつけます。雄株の花の花弁は4枚、黄色い葯をつけた雄しべは4個で雌しべは退化しています。花の直径は1cmほど、シンプルでかわいらしいです。

20.アオキ 雌樹の花       (2019.3.27)

 アオキの雌樹は雄株と同様に花をつけます。花の中央にあるのは淡黄緑色の雌しべのみです。雌しべを拡大してみると花粉が付いているのがわかります。写真のように前年の赤い果実が開花時期に残っていることもあります。


 21.ヤマブキ                                      (2019.3.31)

 上水路でヤマブキはふつうに見られます。上水の右岸、左岸の法面には大きな群落もあり最盛期には見ごたえがあります。特に右岸法面に咲く花は土手から水面方向に垂れているため対岸からの景観は素晴らしいです。写真は、左岸柵内に咲くヤマブキです

22. テングチョウ         (2019.4.11)

 日差しが暖かいお昼時、遊歩道の笹にチョウが舞い降りてきました。頭部に名の由来である発達した突起があるテングチョウです。越冬した成虫は翅の損傷が目立ちます。幼虫はエノキの葉を食べます。今はエノキの若芽が萌えるころ、これから産卵の時期になります。