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ヒメヤブラン  2015.7.25

 日当たりのよい草地を好みますが、草地が少ない上水路では右岸左岸の木漏れ日が当たる道端でふつうに見られます。細長い葉の中心部から高さ15cmほどの花茎を伸ばし、淡紫色の小さな花を遠慮がちに咲かせています。木漏れ日が射すととてもきれいです。

ヤブラン    2015.7.25

ヤブランは林下を好みます。上水路ではヒメヤブランと同じような場所で咲いていますが、ヒメヤブランより多く見られます。葉は幅1cm、長さ40-50cmで花茎の高さは40cmほどです。淡赤紫色の花の個々の大きさはヒメヤブランと同じくらいです。

葉に斑が入ったヤブランは、公園や庭でよく見かけます。


ヌスビトハギ 2015.7.4 

 上水路の林下や林縁でふつうに見られます。マメの仲間です。赤紫色がきれいな花は愛らしいですが、大きさが3~4mmと小さいため気づかないこともあるかと思います。

 ヌスビトハギの名は、花後の実が盗人の忍び足に似ているからといわれています。この実にはカギ状の毛があり、衣服などへの「ひっつき虫」として知られています。

アキカラマツ  2015.7.4

 上水路右岸の日当たりがよい草地で見られます。高さ1mほどの茎の先に淡黄色の小さな花を多数つけます。花が多すぎてまとまりが無いため個々の花に眼を留める方は少ないようです。雄しべだけが目立つ変わった花です。花びらのように見えるのはガク(萼)です。


イヌゴマ       2015.7.10 

 湿り気があるところを好むそうです。上水路では頭上が木の枝で日差しがさえぎられる場所で見られます。

1cmほどの小さな淡紫色の花は茎の上部の下から上へ順に咲いてゆきます。茎の形は、咲き始めはまっすぐ伸びて格好いいですが、成長に伴い曲がりながら気ままに延びていきます。

アキノタムラソウ 2015.7.11

上水路の右岸、左岸両方で見られます。青紫色が目立つ穂状の花は、日当たりのよい右岸では6月中旬ごろから咲き始めます。花の時季は長く10月頃に細々と咲いているのを見かけます。高さは30~50cmほどです。


ヘクソカズラ     2015.7.23 

 花や葉、実を揉むと妙な臭いがすることで、名が納得できるつる性のヘクソカズラです。上水路のどこでも見られます。白と赤紫色の配色はシンプルで美しいと思います。赤紫色の中心部は毛で覆われて深部は見られません。なお、触れなければ異臭はしません。念のために。

 秋の陽に光るつややかな褐色の実も楽しみです。

マヤラン      2015.7.29 

 上水路では上水の堀を仕切る擬似木の柵下に生えています。身近に見られる野生ランの花として大切にされています。

マヤランは葉と根を持たず、地中の地下茎に共生する菌類(キノコの仲間)から栄養と水をもらって生きている菌従属性の植物です。その菌が生息する特定の樹木なしにマヤランは育ちません。マヤランが育つ環境を維持したいと思います。

ダイコンソウ  2015.7.23 

上水路左岸の柵内や新堀用水の岸辺に散在しています。花を多くはつけませんが次々に咲くため夏の間は見られます。林下にぽつんと咲いた黄色い花はなんとなく寂しげです。

名は、根(実は茎)から直接出たような葉(根生葉といいます)の形が大根の葉に似ているからだそうです。 

キツネノカミソリ   2015.7.29

上水路の林内や林縁で見ることができます。草に囲まれていても鮮やかな黄赤色の花は目立ちます。キツネノカミソリは春に出た葉が枯れた後に花茎が伸びてきます。葉の形をカミソリに見立てたといわれています。

東京都レッドリスト北多摩域では、キンランと同等の絶滅危惧種になっています。


ウバユリ     2015.7.29

上水路でこの2、3年見られなかったウバユリが咲いていました。この場所は以前にも咲いたことがあります。林下の草の間から伸びて咲く黄緑色の細長い花は気品が感じられます。

この写真を撮った翌日、何とこの花は茎ごと無くなっていました。上水路では珍しいこの花を、散策する方々の見る機会が失われたことが残念でなりません。


ラミーカミキリ            2015.6.6

 体長は2cm程のおしゃれできれいなカミキリムシです。上水路では初めて見ました。

カラムシやヤブマオなどを食草とする外来種で、繊維を取る作物のナンバンカラムシ(ラミー:麻の一種)の輸入に伴って持ち込まれたと言われています。温暖化に伴い分布が北上しているそうです。

ヤマトタマムシ       2,015.7.29

 ヤマザクラの古木を何気なく見ていたときに見つけました。飛んでいるのを見たこともあり、以前よりヤマトタマムシが多いように思います。

ヤマザクラ、コナラ、エノキなどの枯木で育った幼虫は、成虫になるとエノキやケヤキの葉を食べるそうです。

ヤマトタマムシも育つ上水路の環境を大切にしたいと思います。

コアシナガバチ       2015.7.4

 上水路近くのネットフェンスに巣がありました。作り始めて間もないのでしょうか、ハチの数は3匹ほどでした。

コアシナガバチの巣は片側(写真では左方向)に延びて行くそうです。幼虫の世話と巣作りなどで多忙なハチ達による巣の成長が楽しみです。しかし、巣の場所が外敵に対してあまりにもオープンなのが気になっています。


ニホンミツバチ         2015.7.11

 6月中旬、ヤマザクラの古木の地上から高さ60cmほどにある隙間から数匹のハチが頻繁に出入りしているのを見つけました。後ろ足に黄色い花粉を抱えているハチもいました。

写真は約一ヶ月後、働きバチも増え巣が順調に大きくなっていると思われます。ニホンミツバチは、いろいろな花から花粉や蜜を集めます。自然環境の多様性が感じさせる小さな虫たちを見守りたいと思います。