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                                        写真と文は宮元伸也さん

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<< 第38回 玉 川 上 水 の 盛 夏 と 初 秋 を 散 策 す る >>

 8月上旬の猛暑の中、玉川上水の上流(玉川上水駅 清願院橋~拝島駅 平和橋)を歩きました。日ごろ歩く小平付近とは異なる草木の様子や豊富な上水の流れを興味深く眺めました。その折に見た花を数点載せます。玉川上水も初秋を迎えましたが、天候の変化が激しいためか花の時季が例年とは違うような気がしました。


 1.コバギボウシ(1) -上流-   (2019.08.06)

右岸の上水路脇、木立の下にまとまって咲いていました。群れて咲く紫色の花は、盛夏にもかかわらず涼しげで爽やか感がありました。 コバギボウシは小平付近にも散在していますが、近年少なくなり間近で見られなくなったような気がします。

  2.コバギボウシ(2) -上流-   (2019.08.06)

 横向きに出たツボミは、花が咲く頃は次第にうつむいてきます。筒状の鐘の形をした淡紫の花に木漏れ日が射し、一層美しく見えました。


 3.オニユリ -上流-        (2019.08.06)

玉川上水柵内の草むらから抜き出て咲いていました。暑さを厭わない如何にも夏の花の感じ、その高さ、花の色は目立ちます。古い時代に鱗茎を食用にするため渡来したようです。オニユリは結実せず、葉の付け根にできる珠芽(むかご)で増えます。 

 4.ムラサキツメクサ -上流-  (2019.08.06)

 左岸のいく筋かに分かれる歩道脇の草はらに散在して咲いていました。草の緑の中に散在する赤紫の花は目立ちます。牧草として明治の初期に渡来したヨーロッパ原産の外来種です。群生するシロツメクサ(クロ-バー:江戸時代に渡来)のように一面に広がる群生にはなりません。


 5.カワラナデシコ -上流-    (2019.08.06)

秋の七草の一つ。細かく糸状に裂けた淡紅紫色の花は上品な美しさが感じられます。玉川上水柵内にひっそりと咲いていました。小平付近でも自生かどうか不明ですがまれに見られます。東京都多摩地域では絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されています。

 6.ツリガネニンジン(白)-上流- (2019.08.06)

ツリガネニンジンは上水路でふつうに見られます。高さ70~80cm、花の色は淡紫色~白色、釣鐘は細長い形やふっくらした形など多様です。清楚な白花の細い花から突き出したすりこぎ形の雌しべが目立ち面白い。雌しべの先端はしばらくすると浅く三裂します。


 7.ツリガネニンジン(淡紫)    (2015.09.25)

淡紫で釣鐘がふっくらとしたタイプで、愛らしく見えます。上水路では白花より淡紫色の花が多いです。早春に出る若芽は「ととき」といい山菜として食べられるそうです。かなり前ですが、玉川上水で摘んでいる方を見たことがあります。

 8.ボタンヅル -上流-       (2019.08.06)

玉川上水の柵にからんでセンニンソウに似た花が咲いていました。咲いてからしばらくたった花でしょうか、4枚あるはずの白い萼片(がくへん)は下部の花に2枚だけ残っていました。センニンソウに比べ長い雄しべが目立ちます。名の由来は、葉がボタンに似ているからだそうです。


 9.センニンソウ                     (2019.09.05)

 上水路ではポピュラーな夏の花です。十字に開いた真っ白な萼片(がくへん)が美しく魅力的です。つるを絡めて群れて咲く花の近くを歩くと甘い香りがただよいます。茎や葉を汁に触れると炎症を起こすそうです。

10.コヤブタバコ -上流-          (2019.08.06)

 上流の林内に咲いていました。高さは50~70cm、,幹は太めで分岐した枝先に1.5cmほどの下を向いた花が咲きます。見上げるとキク科の特徴の黄色い筒状花が見えます。花の基部に広がる大小の苞葉が舞っているようで面白い。小平付近の上水路でも見られます。


11.ヤブタバコ                       (2019.09.14)

 コヤブタバコに一月ほど遅れて、林縁で小さく地味な1cmほどの花がみられます。花は葉腋(ようえき=葉と茎の間)についています。太い茎は50~100cm程に成長すると、上に伸びるのを止め長い枝を四方に伸ばす(傘のように)のが特徴です。

12.ツルボ                           (2019.0907)

 上水路の日当たりの良い場所や草むらのなどでふつうに見られます。淡紫色の花の群生に眼を惹かれることがあります。花は下から上へ順に咲き、ハチ、アブ、シジミチョウなどが蜜を求めてやってきます。ツルボの葉は早春に伸び、花が咲く前に枯れます。


13.マヤラン                        (2019.08.31)

 マヤランの花は7月に咲いたあとしばらく休み8月の下旬に再び咲き始めます。赤い斑点が印象的なランの花を二度見られるとはラッキーです。今年は猛暑せいか7月の花は元気がありませんでした。上水路では生息場所の広がりがあるようです。林下や林縁を丁寧に探すと、10月中は見られるかもしれません。

14.サガミラン                       (2018.09.22)

  マヤランとほぼ同じ時期に二度咲きます。マヤランに似ていますが赤紫の斑点がないのでやや地味な感じがします。白い花を見ると今年もよく咲いてくれたなと思います。上水路では生育場所が限られ大切に見守りたい花です。 マヤラン、サガミランはシュンランの仲間です。


15.イヌコウジュ (小さな花)    (2019.0914)

 上水路でふつうに見られます。高さ50cmほど、淡紫色の4mmほどの小さな花を穂状に付けます。唇形の花がかわいらしいです。シソの仲間で茎は細毛がある四角形をしています。上水路にあるよく似たヒメジソは葉の鋸歯(周囲のぎざぎざ)がイヌコウジュより荒いので見分けられます。

 16.ネコハギ (小さな花)         (2019.09.05)

 道端や草地で見られます。地を這うように延び、花も7mmほどで気づかずに通り過ぎてしまうかもしれません。花や葉は豆の仲間の特徴的な形です。白い花弁に紅紫色の斑紋が艶っぽく感じられます。マメの仲間です。


 17.ヤハズソウ(小さな花)      (2019.09.07)

 花の大きさはネコハギより小さく5mm以下、同じマメの仲間です。草丈は15cm以上になるそうです。写真は草刈の後でほとんど地を這うように伸びていました。紅紫の花は葉に隠れ散策中は見逃しそうです。名は葉を引っ張って千切れた形が矢筈(矢の後端の弦を掛ける部分)の形に似てるからだそうです。

18.キツネノマゴ(小さな花)   (2019.09.07)

 道端や草はらでふつうに見られます。高さ10~20cm、上部の穂状の中から大きさ8mmほどの花が1~3輪ずつ長い間咲き続けます。上が小さく下が大きい2枚の唇形の花弁は紅紫の斑紋がかわいらしいです。


19.ノシラン           (2019.09.07)

 やや湿気がある林縁で見られます。扁平な花茎の上部に咲くの白い花は清涼感があり、暗い林縁で目立ちます。艶がある葉は花茎より長く伸びます。ノシランの名は葉や茎が平たいのを熨斗(のし)に見たてたそうです。ランの名が付いていますが、ジャノヒゲの仲間です。

 20.ヒガンバナ         (2019.09.25)

 例年上水路では9月の中旬に咲いていました。天候不順のせいか、今年は遅れて下旬にようやく咲きました。林縁や林下など光が当たらないところでも鮮やかな紅色はよく目立ちます。小平市域の小川用水の岸辺で撮りました。上水路でもふつうに見られます。


 21.チャイロスズメバチ           (2019.09.05)

 クヌギの根元が黒い塗料で覆われてました。スズメバチが来ないよう樹液の滲出を抑えるための措置です。にもかかわらず、数匹のチャイロスズメバチは強力な顎で樹皮をかじり樹液を出そうとしているのでしょうか。体色が茶色と黒で小型の体長で、他のスズメバチとの違いが分かります。安易に近づかないようにしましょう。

 22.オオスズメバチ                (2019.08.31)

  オオスズメバチが地上でアブラゼミを食べていました。セミは狩りの獲物でしょうか。セミから一旦離れしばらくするとまたやってきました。かじり取ったセミの肉団子は巣に戻り幼虫に与え、獲物の分泌液は自分の栄養にするそうです。この時季スズメバチは地面にいることがあります。要注意!